第2回 初級 ヒント集 その12

工業デザイン《問題8 参考》

灰色や深緑色の設備機械に囲まれた加工現場の仕事は、油まみれの作業が多く、3K(きつい、汚い、危険)イメージが連想され、好景気に見舞われた1980年代後期以降若い技能者の製造業への興味が薄れていると言われました。

このころから、NC工作機械の付加価値を高めるため、その外観に工業デザインが導入されはじめ、丸みを帯びた優しい形状と明るい機械本体色で機械加工現場のイメージ改善を図ろうとする動きが広がりました。

そして1990年代以降、機械の外観デザインはさらに大きく変化したと思われます。それまで切屑や切削油の飛散対策のため、機械本体を覆う切削水カバーは機体全体を覆うデザインを配慮した大きなカバーとなりました。このカバーには、外部から加工状況が良く確認できる大きな窓や段取り時の作業者負担を軽減する大きなドア開口部が設けられ、安全性・機能性・環境対策を高め、「スプラッシュガード」という呼称が一般化しました。

このように、工業デザインはブランドと機械イメージを作り出すため、工作機械の設計において今日では重要な位置付けとなっています。

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