第3回 初級 基礎資料 その1

工作機械とその重要性《問題1 問題2 参考》

私たちの身近にあるスマートフォンや時計などの精密機器、自動車や航空機、船などの輸送機器、人工骨や人工関節といった生体材料に至るまで、金属を材料とする製品はあらゆる分野に存在しています。

これらを構成する部品は、主として素材を削ったり、穴を開けたり(切削加工)して作られるか、切削加工で仕上がった金型によって作られます。このような加工を行う機械を「工作機械」といい、モノづくりのための機械としてさまざまな製品の一部を作りだし、私たちの生活を支えています。工作機械は金属に限らず、セラミックス、ガラスといった非金属も加工できます。

精密で複雑な部品を正確かつ効率的に作ることが工作機械の役割です。全ての機械やそれらの部品は工作機械を通じて作られていることから、工作機械は「機械を作る機械」「マザーマシン(母なる機械)」ともいわれています。

工作機械には、母親の性質が子どもに伝わるように、工作機械(母)が生み出す部品(子)に、工作機械(母)の性質が移されるという「母性原理」があります。つまり、同じ機械で繰り返し部品を作っても「工作機械によって作られた部品は、その部品が作られた工作機械の精度を超えることはできない」という原理が成り立つので、同じ精度の部品を作ることができるのです。

工作機械は国の産業を形成する基幹産業です。昔から“工作機械産業の力が、その国家の産業技術力を示す”と言われます。

工作機械の定義《問題3 問題4 参考》

工作機械は日本産業規格(JIS)では「主として金属の工作物を、切削、研削などによって、又は電気、その他のエネルギーを利用して不要な部分を取り除き、所要の形状に作り上げる機械。ただし、使用中機械を手で保持したり、マグネットスタンド等によって固定するものを除く。狭義であることを特に強調するときには、金属切削工作機械と表現することもある。」と定義づけています。

このように日本では、主に金属の不要な部分を削りとって所要の形状に作り上げる機械を工作機械と定義し、日曜大工などで使う手持ち式電動ドリルやグラインダーなどは工作機械に含めていません。

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